愈史郎がここまで珠世に想いを寄せるのには、彼が鬼化した経緯が関係しています。まだ人であった頃の彼は病に犯されており、余命幾ばくもありませんでした。そんな彼を哀れみ、鬼となっても生きながらえたいかを問い、血を分け与え、鬼化させたのが珠世だったのです。
本来、人を鬼にできるのは鬼の始祖・無惨の血しかありません。しかし、珠世は200年以上におよぶ研究のなかで唯一、愈史郎を鬼化させることに成功。彼は病から救ってくれた恩人だからこそ、そして美しさと慈悲深さに惚れているからこそ珠世に付き従っているわけです。
珠世に恩人としてだけでなく、恋愛感情も感じている愈史郎は、炊事洗濯など彼女のためにあらゆる身の回りの世話をしていました。その愛情はとどまるところを知らず、珠世の日々の様子をつぶさに観察した「珠世日記」をつけるほど。それも、1日7〜10ページにもなります。
また、作中では珠世の気持ちを察してか愈史郎はついにその想いを伝えることはありませんでしたが、ファンブックによるともしも生まれ変わることができるのなら、来世では夫婦となってほしいとの願いを伝えています。その答えとして、珠世は優しく微笑み、頷いたそうです。
鬼は人を殺すほど、食らうほどに力が増すため、少量の血しか飲まない愈史郎は本来、他の鬼と比べて弱いはずです。しかし、作中では無惨直属の精鋭部隊・十二鬼月にさえ劣らない実力を発揮しました。では、愈史郎の強さの秘密と、その血鬼術の効果についてご説明します。
鬼の力はその再生速度の速さで測ることができます。例えば、十二鬼月クラスにもなると、手足をもがれてもほぼ一瞬で再生可能です。対して、愈史郎は鞠の鬼・朱紗丸(すさまる)に頸から上を消滅させられたことがあり、十二鬼月ほどではないにせよ、すぐに再生していました。
十二鬼月並みの再生能力をもちながら、愈史郎はごく少量の血を飲むだけでいい特殊な身体をしています。他の鬼は人を殺すためどこかに痕跡が残るものですが、彼は輸血用の血で足りるので痕跡はほぼ残りません。無理なく人間社会に溶け込めるのは、彼ならではの強みです。
愈史郎の血鬼術「紙眼」は「視覚」の制御に関わるものです。例えば、眼のような模様の描かれた陣紙を貼ることで、周囲から建物を見えなくしたり、別のものを見せたりできます。また、隠されたものを見えるようにしたり、他者と視覚を共有したり、と汎用性の高い術です。
普段、珠世からけして離れようとしない愈史郎ですが、作中の大詰め、無限城編では珠世からの頼みで鬼殺隊に成りすまし、治療要員の一人として作戦に参加しました。また、彼の血鬼術は情報操作に長けていることから、前線と本部・産屋敷邸との伝達役でも大活躍します。
愛する珠世を殺された愈史郎は、無惨に一泡吹かせるべく鬼側の伝達役である上弦の肆・鳴女(なきめ)に「目眩しの術」で忍びより、脳に進入して視覚を操作。恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじ みつり)と蛇柱・伊黒小芭内(いぐろ おばない)を殺害したと偽情報を流します。
その後、嘘に気づいた無惨は激怒し、愈史郎から鳴女の制御を奪い返そうとしますが、柱たちの妨害と彼の奮闘によりこれを阻止します。さらに、鳴女は血鬼術で無限城の管理もしており、彼は鳴女を操作することで、無惨をついに地下(無限城)から地上へと追いやるのです。
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DIGLE MOVIE編集部
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DIGLE MOVIE編集部ディレクター。音楽、アニメ、漫画、映画、ファッションなど、全てのアートカルチャーをこよなく愛しています。 某音大卒、アメリカ留学後に大手音楽レーベルにてアーティストの新人発掘、マネジメントに携わり、現在はアーティスト兼ディレクター兼アートコンサルタントとして様々な素晴らしいモノ、コトを提供中。 アートを新たな価値として提供する事にも日々模索中でMUSIC HACK DAY Tokyo 2018にも出場し、Sigfox賞を受賞。
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