本作におけるテーマの1つが、スカーとシンバとの因縁です。スカーの意志を受け継ぐ妻や子孫が、シンバに復讐を果たそうと陰謀を企てます。シンバはスカー派だった者たちをアウト・ランドに追いやりましたが、それだけでは争いの根本的な解決になっていなかったのです。そして厄介者を遠ざけて臭いモノにフタをしてきたツケが、自分の娘であるキアラたちに回ってきてしまいます。
自分たちのせいではなく親同士の問題によって離れ離れになってしまうキアラとコブの関係は、まるで『ロミオとジュリエット』のようです。2人は幼少期に出会い仲良くなるのですが、敵対する親同士の争いに巻き込まれて仲を引き裂かれてしまいます。しかしロミオとジュリエットとは違い、最後には自分たちの意志を貫いて争いに終止符を打ち、めでたく結ばれるストーリーは、現代の作品らしいとも言えるかもしれません。
本作はキアラとコブの成長物語ですが、同時に、前作の主人公シンバの物語でもあります。シンバはムファサを死なせてしまったことをまだ引きずっており、いまだに父の影を追いかけているのです。スカー派のライオンたちを追放したことは問題の解決になっておらず、結局本作における騒動の火種となってしまいます。王としては少し頼りないですが、ある意味でシンバらしい、優しい王になった彼に会える作品だと言えるでしょう。
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DIGLE MOVIE編集部
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DIGLE MOVIE編集部ディレクター。音楽、アニメ、漫画、映画、ファッションなど、全てのアートカルチャーをこよなく愛しています。 某音大卒、アメリカ留学後に大手音楽レーベルにてアーティストの新人発掘、マネジメントに携わり、現在はアーティスト兼ディレクター兼アートコンサルタントとして様々な素晴らしいモノ、コトを提供中。 アートを新たな価値として提供する事にも日々模索中でMUSIC HACK DAY Tokyo 2018にも出場し、Sigfox賞を受賞。
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