下弦の伍・累との戦いの舞台は、那田蜘蛛山編です。ミスをした姉役の鬼にお仕置き?をしているところに、炭治郎が駆けつけます。炭治郎に他の鬼との擬似家族のことを「紛い物」と指摘された彼は激怒。炭治郎を切り刻もうとしたところ、妹・禰豆子が身を挺して守ったことに本物の家族愛を感じ、禰豆子を渡すのなら命は助けることを提案します。しかし、当然ながら炭治郎はこれを拒否したため、圧倒的な血鬼術で炭治郎らを追い詰めていきました。
死を直感した炭治郎は走馬灯のなか、かつて父・竈門炭十郎(かまど たんじゅうろう)が伝えようとした正しい呼吸法を思い出します。そして、禰豆子は亡き母の願いで血鬼術に目覚め、二人の連携により累は頸を切られたかに見えました。しかしその実、彼は頸を切られたのではなく、直前に自ら糸で頸を落としただけだったのです。その後、すでに満身創痍な炭治郎らを仕留めようとしますが、水柱・冨岡が登場したことであっさりと頸を切られるのでした。
弱い鬼に力を、役割を与えて擬似家族を形成し、「家族」と言いながらもミスした鬼は容赦なくいたぶる残虐さが印象的な塁でしたが、実は、鬼と化す前は病弱な少年でした。
走ることも、歩くのでさえ難しいほど、生まれつき身体の弱かった彼は、無惨によって鬼の強靭な肉体を手に入れます。ただし、それは同時に、二度と太陽の下には出られず、人を食わないと生きていないことを意味するのです。我が子が人を殺め、食らっていたことに気づいた両親は彼を殺そうとしますが、鬼である彼を殺すことは叶わず、返り討ちにされました。
しかし、両親は彼を恐れていたわけではなく、母は丈夫な身体で産んであげられなかったことを悔い、父は人を殺した息子の罪をともに背負い、ともに死のうとしてくれていただけだったのです。水柱・冨岡の手で頸を切られた後、彼は両親の本当の想いを思い出し、死後の世界でもなお息子の帰りを待ち続けていた両親の愛に包まれながら、最後は塵と化しました。
両親を自らの手で殺めたことを悔い、家族が恋しくてたまらないからこそ擬似家族で心を埋めようとした累の心情を知った上で、彼のこれまでのセリフを読み返してみましょう。
ミスをした姉役の鬼に、累がお仕置きをしているところに遭遇した炭十郎が「何してるんだ…!!仲間じゃないのか?」と叱責したときの返答です。
鋼の糸で炭治郎を切り刻もうとしたところを、禰豆子が身を挺して守ったのを見て、感動に打ちひしがれた累が禰豆子を欲したときの発言です。
死の間際、両親の本当の想いを思い出した累は炭治郎と禰豆子の本物の家族愛を羨み、二人のもとに手を伸ばしながらこのように考えていました。
アニメ版『鬼滅の刃』で累を演じたのは、劇団ひまわり所属の声優・内山昂輝(うちやま こうき)さんです。10代の頃から20年以上にわたり活躍するベテランの声優で、これまでにアニメでは「機動戦士ガンダムUC」バナージ・リンクス役や「ピンポン THE ANIMATION」スマイル役、「ユーリ!!! on ICE」ユーリ・プリセツキー役、「Fate/Apocrypha」シロウ・コトミネ役、「DEVILMAN cry baby」不動明役など幅広い役柄で出演してきました。そんな内山さんが今回、残虐性の裏で家族の愛を切望する幼い少年の鬼・累の複雑な心情を見事に演じてくれています。
累はアニメ版でもすでに登場し、敗北しています。しかし、炭治郎が初めて対峙する十二鬼月であるだけでなく、涙なくしては語れない過去をもつ、作中でもとくに印象深い鬼のひとりです。
今後、続編が制作されるとして、那田蜘蛛山編はぜひもう一度見返しておきたい話でしょう。
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※本ページの情報は2023年12月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
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DIGLE MOVIE編集部
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DIGLE MOVIE編集部ディレクター。音楽、アニメ、漫画、映画、ファッションなど、全てのアートカルチャーをこよなく愛しています。 某音大卒、アメリカ留学後に大手音楽レーベルにてアーティストの新人発掘、マネジメントに携わり、現在はアーティスト兼ディレクター兼アートコンサルタントとして様々な素晴らしいモノ、コトを提供中。 アートを新たな価値として提供する事にも日々模索中でMUSIC HACK DAY Tokyo 2018にも出場し、Sigfox賞を受賞。
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