鬼殺隊に呼吸法を教え、隊士としてともに戦うようになった縁壱は、1度だけ無惨と会敵します。その際、「日の呼吸」と鬼の再生速度を遅らせる赤き「赫刀」で無惨を瀕死の状態にまで追い詰めました。しかし、止めを刺す前に、無惨は自らバラバラに弾けて逃げてしまいます。
この敗北は無惨にとって相当なトラウマを植え付けたようで、後に無惨は配下の鬼と「日の呼吸」の適性をもつ剣士を根絶やしにしました。また、街で炭治郎と遭遇した無惨は、炭治郎がよく似た耳飾りをしていただけで彼を思い出し、配下の鬼に殺させようとしたほどです。
縁壱は地位をもつ武家の双子の次男として生を受けます。当時、双子は跡目争いの原因になると忌み嫌われていました。母の強い意志により処分は免れたものの、彼はわずか3畳の部屋で生活することに……。着物も、食事も、教育も、双子の長男とは差をつけて育てられました。
しかしある日、父の輩下の戯れで剣術の稽古に参加したところ、口頭で軽く教えられただけで、彼はその輩下を一瞬のうちに打ち倒します。その様子を見ていた長男・継国巌勝(つぎくに みちかつ)は彼の他と隔絶した剣術の才に嫉妬し、ついには鬼と化すまでに狂うのでした。
始まりの呼吸の剣士・縁壱が扱う呼吸法は「日の呼吸」。作中では、主人公・炭治郎も習得することとなります。では、そんな「日の呼吸」の型の名前や、効果をご紹介しましょう。
美しい弧を描くように、上段から下段に刀を振り下ろす型です。
太陽(日輪)の輪郭のように、刀で円を描くように振るう型です。
まるで八の字(無限)を描くように、刀を左右対称に振るう型です。
刀を高速回転させ、まるで灼熱の炎のごとき一太刀を相手に浴びせる型です。
飛び上がりながら、上空へと威力を一点集中させた突きの一撃を放つ型です。
龍が舞うかのごとく素早い動きで相手に接近しながら斬撃を繰り出す型です。
相手の攻撃を紙一重で避けつつ、空中で回転しながら切り込む型です。
切っ先を陽炎のように揺らがせながら切りつける型です。
力強い踏み込みと、鋭い剣捌きを合わせた型です。
飛び上がり、相手の背後を取りつつ斬撃を繰り出す型です。
ひねりと回転を高速で繰り出すことで、相手の攻撃をかわす型です。
大きな半円を2つ描くように、刀を2度連続で振り抜く型です。
壱から拾弐までの型を1つに繋げることで、延々と舞いつづけられる型です。
主人公・炭治郎の生家・竈門家には古くから日の神様に祈りを捧げる舞「ヒノカミ神楽」が受け継がれてきました。実はこの舞、かつて炭治郎の祖先・竈門炭吉(かまど すみよし)とその妻・すやこが鬼に襲われていたところを縁壱が助け、親しくなり、竈門家を度々訪れては炭吉とすやこにせがまれ二人の前で披露していた「日の呼吸」の「拾参ノ型」そのものなのです。
後に、彼が竈門家を離れることになると、炭吉は彼の意志を継いで「日の呼吸」を後世に伝えることを約束します。炭吉の、そしてその後の竈門家の当主らの思いは相当なもので、何代も後の炭治郎まで「日の呼吸」は「ヒノカミ神楽」として驚くほど正確に伝えられていました。
身体能力を格段に向上させる「アザ」や、相手の筋肉や血流を見透すことで次の行動を予測できる「透き通る世界」。炭治郎をはじめ、鬼殺隊の柱たちでさえ死線をくぐり抜け、極限の状況下でようやく「アザ」を、そして「透き通る世界」の境地に至ることができていました。
一方で、縁壱は生まれつき「アザ」を発現させており、7歳の頃には誰に教わるでもなく「透き通る世界」を使いこなしていたのです。さらに、彼は日輪刀を鬼に焼けるような傷をつけ、その再生速度を遅らせる「赫刀」にもできました。まさに鬼殺隊の歴史上最強の剣士なのです。
始まりの呼吸の剣士・縁壱は他と隔絶した「剣術の才」に目がいきがちですが、彼自身はそれほど剣を求めてはいませんでした。それより、母が何年も前から左半身が不自由なことを見抜き、つねに側に寄り添い、支えようとしたり、幼き日に兄・巌勝に渡された手製の笛を死の間際まで大切に懐にしまっていたり。また、友・炭吉やその妻・すやこ、子・すみれの様子を見て「お前たちが幸せそうで嬉しい」と他者を心から祝福できる、愛情深い人物だったわけです。
WRITER
DIGLE MOVIE編集部
国内外の“今”の音楽、映画情報が知れるメディア「DIGLE MAGAZINE」。邦画、洋画、アニメなどの幅広い映画ジャンルに精通するメンバーが集まった新進気鋭のメディア編集部が日々気になった情報を発信します。
EDITOR
Asahi
DIGLE MOVIE編集部ディレクター。音楽、アニメ、漫画、映画、ファッションなど、全てのアートカルチャーをこよなく愛しています。 某音大卒、アメリカ留学後に大手音楽レーベルにてアーティストの新人発掘、マネジメントに携わり、現在はアーティスト兼ディレクター兼アートコンサルタントとして様々な素晴らしいモノ、コトを提供中。 アートを新たな価値として提供する事にも日々模索中でMUSIC HACK DAY Tokyo 2018にも出場し、Sigfox賞を受賞。
POPULAR
人気記事