鬼でありながら鬼の始祖・無惨の頸を虎視眈々と狙う珠世。そこには彼女が鬼と化した理由と、その後の悲しい過去があります。まだ人として生きていた頃の彼女は病に犯され、余命幾ばくもありませんでした。そんな彼女には夫と、まだ幼い子どもがおり、せめて我が子が大人になるまでは生きて見届けたいと祈ります。その願いにつけ込み、彼女を鬼にしたのが無惨です。
しかし、鬼とは元来、人としての心を失い、本能のままに血肉を欲する人に仇なす生き物。都合よく愛する夫を、我が子を見逃せるはずもなく、鬼化した彼女は二人を自らの手で殺してしまいます。その後、自暴自棄になった彼女は罪もない大勢の人々を食らいました。夫と我が子の仇を打つためにも、そして人々を殺した罪を償うためにも彼女は無惨に復讐を誓うのです。
鬼はより多くの人を殺し、その血肉を食らうほどに強力な力を得ることができます。つまり、400年もの時を生き、それだけ多くの血肉を摂取してきた珠世は、他の鬼よりも能力が高いはずなのです。では、そんな珠世の強力な血鬼術の技と、効果についてご説明しましょう。
珠世の血鬼術は自らの血を媒介として、その匂いを嗅いだ者を幻惑させる効果をもちます。相手の五感に作用する非常に強力なものながら、無差別のため味方の側では使いづらい術です。
珠世の血を嗅いだ者に、花の模様が広がった異空間のようなものを見させる幻覚です。相手の視覚を一時的に奪うことができるため、作中では鬼と化して暴れる男性を隔離するのに使われました。
血を嗅いだ者の脳の機能を低下させ、相手が嘘をついたり、秘密を守ろうとしたりできなくする術です。力のある鬼でも術の前には嘘がつけなくなり、無惨の情報を漏らしてしまいます。
血鬼術「惑血」だけでも十分に強力な鬼・珠世ですが、彼女の凄いところはそこだけではありません。医師として人間社会に溶け込めるほどの医術の知識と腕があるほか、研究者として長年にわたり鬼を研究し、自らの肉体を改造することで少量の血でも生きられるようにしたり、鬼にかけられた無惨の呪縛を外していたりします。なお、作中で語られませんが、彼女は読書と紅茶が好きで、鬼のままでも紅茶を楽しめるよう、飲めるように身体を改造しているそうです。
また、炭治郎から送られてくる鬼の妹・禰豆子や上弦、下弦の鬼たちの血を解析し、作中の大詰め、無限城編の直前ではついに鬼を人に戻す薬の開発に成功します。この薬を投与された禰豆子は一時的に眠りにつきますが、目覚めてからしばらくすると無事、人に戻れていました。
珠世の側にはつねに少年の鬼・愈史郎(ゆしろう)が仕えています。実は、この愈史郎は彼女が鬼と化した人物なのです。本来、鬼は始祖・無惨の血でしか作ることはできません。しかし、彼女は長年の研究、幾多もの実験の末に、唯一、愈史郎を鬼にすることに成功したのです。
なお、珠世は無惨とは違い、無理やり血を与えることはしません。病や怪我で余命幾ばくもない者に、助かる可能性として鬼について説明し、承諾した者だけに血を与えます。愈史郎もまた病に犯されていたひとりで、命を救われたことから珠世に絶対の敬愛の念を抱いていました。
無惨を倒すべく、そして鬼を人に戻すべく研究をしていた珠世のもとに、ある日、鬼殺隊を束ねる当主・産屋敷耀哉(うぶやしきかがや)の使いである鎹鴉が訪れます。そこで、鬼殺隊にも鬼の身体と薬学に精通している者がいて、その者と協力するよう産屋敷邸に招待されました。
蟲柱・胡蝶しのぶと協力して研究を重ねた珠世は、しのぶの提案のもと無惨に薬を分解される前提で「人間返り」「老化」「細胞破壊」「分裂阻害」の4つを掛け合わせました。そして、産屋敷邸に無惨が襲撃したときには、愈史郎の血鬼術で姿を隠し、見事投薬に成功したのです。
薬の作用で一時的に無惨を戦闘不能にした珠世でしたが、無惨が鬼の本拠地・無限城に逃げ込み、薬を分解しようと肉の塊に身を潜めたときに身体ごと吸収されてしまいます。その後、「人間返り」の薬を分解し、参戦した無惨によって無情にも頭を握り潰され亡くなりました。
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DIGLE MOVIE編集部
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DIGLE MOVIE編集部ディレクター。音楽、アニメ、漫画、映画、ファッションなど、全てのアートカルチャーをこよなく愛しています。 某音大卒、アメリカ留学後に大手音楽レーベルにてアーティストの新人発掘、マネジメントに携わり、現在はアーティスト兼ディレクター兼アートコンサルタントとして様々な素晴らしいモノ、コトを提供中。 アートを新たな価値として提供する事にも日々模索中でMUSIC HACK DAY Tokyo 2018にも出場し、Sigfox賞を受賞。
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