ジャスミンは異例尽くしのディズニープリンセスとして知られています。
まず、彼女はそれまでのプリンセス達よりも非常に積極的・活動的で、これまでのディズニープリンスのように王子様をただひたすら待ってなどいません。父サルタンから自分の意思とは違う結婚を求められるとすぐに反発し、自由を求めて王宮を抜け出してしまうのです。強い芯を持った女性であり、男性を判断する際には身分ではなくしっかりと内面を見ています。
次に、ジャスミンにはディズニープリンセスとして様々な「初」が込められています。これまでのディズニープリンセスは皆、物語の主人公でしたが、本作の主人公はあくまでもアラジンであり、ジャスミンではありません。また、ジャスミンが選んだパートナーは王家の者ではなく、これもディズニープリンセス初のことです。さらに彼女は、ヴィラン(ジャファー)とキスをした初のプリンセスでもあります。
ジャスミンは「王道のプリンセス」とは言えないかもしれません。しかし彼女は、ディズニーに新しいプリンセス像をもたらした革新的な女性だと言えるのではないでしょうか。
アニメ版と実写版ジャスミンの微妙な違いも、注目してほしいポイントの1つです。
両作ともにエキゾチックで活発な美女ではあるのですが、実写版ではより強い女性へと進化しています。王宮での生活に退屈し、外の世界での自由な生き方に憧れる点では同じですが、実写版では「自分が国王になってはいけないのか?」と父サルタンに問う姿も見られるのです。そしてアラジンもそんな彼女を応援し、物語の最後には女性国王になることが認められます。
『アラジン』のアニメ版が公開されたのは1992年であり、実写版が公開されたのはそれから27年もの年月を経た2019年です。
その間の時代の変化に合わせて、ジャスミンはより現代的な、自立した女性へと成長を遂げていると言えるでしょう。
また、そんな彼女の魅力がたっぷりと込められた、実写版オリジナルの挿入歌『スピーチレス』は必聴です。ジャファーの陰謀によって閉じ込められそうになった時、とっさに自分を表現したこの曲は、多くの観客から共感や支持を得ました。
ジャスミンの設定には、制作者の様々な考えや想いが込められています。
まずユニークなのが、ヴィジュアルの決め方です。モデルにした人物は3名で、1人目はアメリカ人女優ジェニファー・コネリーだと言われています。後の2人は著名人ではなく、ジャスミンのヴィジュアルを担当していたアニメーターのマーク・ヘンがたまたま見かけた女性と自身の妹の卒業写真に写っていた女性とのこと。この3名を掛け合わせてできたのが、ジャスミンだったのです。
また、ジャスミンの衣装はインドの民族衣装がベースだと言われています。アグラバーはアラビアやペルシャに似た、架空の国です。しかしアラビアでは国民のほとんどがイスラム教徒であり、肌の露出が禁じられています。そこで彼女が着る衣装のイメージには、インドの民族衣装が採用されたのです。
さらに、今でこそジャスミンのドレスはブルーの印象が強いのですが、実は初期段階ではピンクでした。本作では「青と赤」で「善と悪」をそれぞれ表現することとなったため、最終的にはピンクでなくブルーのドレスが採用されたのです。「ジーニー」と「ジャファー」など、作中には「青と赤」の対比が数多く存在しています。
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DIGLE MOVIE編集部
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DIGLE MOVIE編集部ディレクター。音楽、アニメ、漫画、映画、ファッションなど、全てのアートカルチャーをこよなく愛しています。 某音大卒、アメリカ留学後に大手音楽レーベルにてアーティストの新人発掘、マネジメントに携わり、現在はアーティスト兼ディレクター兼アートコンサルタントとして様々な素晴らしいモノ、コトを提供中。 アートを新たな価値として提供する事にも日々模索中でMUSIC HACK DAY Tokyo 2018にも出場し、Sigfox賞を受賞。
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