ある春の日のこと。普段は静かな森の朝は、森の王子である鹿・バンビの誕生に賑わっていました。バンビはウサギのとんすけやスカンクのフラワーと一緒に、すくすくと育っていきます。ある日、母親と共に草原に来たバンビは、夢中で草を食べていました。しかし母鹿は周囲が気になり、きょろきょろと辺りを見回しています。
違和感の正体は、狩りに来た人間でした。母鹿はバンビへ「走って!」と叫び、やっとの思いで彼を逃がします。夢中で巣まで帰ったバンビですが、母鹿がそばにいません。母を探し、泣きながら歩くバンビ。そして彼の前に大きな雄鹿が現れ、「ママはもういない」と告げます。
本作は動物達を主人公にした作品であり、バンビやとんすけ、フラワーをはじめとする森の仲間達がとても可愛らしく描かれています。特に序盤の和やかなシーンではそれぞれがとても個性的に描かれており、例えばウサギのとんすけが地面を「ダンダンダン」と足で小刻みに叩く姿は必見です。
しかしそんな可愛らしく平和な世界は、永遠に続きません。突然人間が登場したことにより、バンビの物語は一変するのです。母を失い、それでも前を向いて懸命に生きていくバンビの姿に、目頭を熱くする方も多くいることでしょう。
『ダンボ』や『バンビ』がの制作が進んでいた1941年。ウォルト・ディズニーはアメリカ政府からの依頼を受けて、スタッフたちと共に南米の地に赴きます。
訪れたいくつもの土地で現地の文化や美しい風景に触れたディズニースタッフたちは、いくつものスケッチを書き残していきました。本編では実写とアニメの世界が混ざり合い、ストーリーがコミカルに描かれていきます。ラテンアメリカにインスピレーションを受けたアニメーターたちが4つの短編アニメ作品を創り出し、彼らが経験したラテンアメリカの旅と交互に物語が展開されていくのです。
本作は実際にディズニーのスタッフたちが旅をした実写映像と、旅によってインスピレーションを受けた彼らが作り出したアニメ映像とが交互に展開されていきます。南アメリカの風景や文化に触れられる実写映像だけでも楽しい気分になれるのですが、そこへさらに、ドナルドやグーフィーが登場し物語を盛り上げてくれるのです。
幼い頃に小学校で見た社会科の教材を少しだけ思い出させますが、決して堅苦しくはなく、ドナルドやグーフィーの登場によってとてもコミカルに仕上がっています。
今日はドナルドの誕生日。彼の元にラテンアメリカからプレゼントが到着します。中を開けると様々なプレゼントが入っていました。
1つ目のプレゼントは映写機で、「寒がり屋のペンギン」や「空飛ぶロバ」の話を、ドナルドは楽しみます。2つ目のプレゼントは、飛び出す絵本です。中からブラジルに住む友人のホセ・キャリオカが飛び出し、ドナルドを本の中のブラジル・バイーアに招待します。3つ目のプレゼントからは、何と友達のパンチートが飛び出しました。彼はピターニャという壺を渡し、中からは沢山のプレゼントが出てきます。
本作は前作『ラテンアメリカの旅』の続編に位置付けられており、前作と同様にアニメーション映像と実写映像とが組み合わされて構成されています。
主に前半はいくつかの短編アニメーション作品で構成されており、ホセ・キャリオカが出てきた以降は実写映像を中心に進んでいく作品です。そしてドナルドの誕生日をお祝いするホセとパンチートの存在も、本作の特筆ポイントの1つです。2匹ともあまり頻繁にディズニー作品に登場するキャラクターたちではなく、トリオが揃った作品は非常に珍しいと言えるでしょう。
コオロギのジミニーはある日迷い込んだ子供部屋で、暗い顔をした人形とクマのぬいぐるみに出会いました。彼らを元気にしてあげるため、ジミニーはレコードをかけます。レコードからは、あるこぐまの物語が流れて来ました。ジミニーはその話を人形たちと聞いてみることに。
こぐまの話が終わり次に訪れた家では、少女と腹話術士、そして人形たちとで、何やら楽しそうなパーティが開かれています。ジミニーがしばらく見ていると、腹話術士は少女を楽しめるために、ある谷に住む人々と巨人の物語を始めました。
本作では、『ピノキオ』に登場し大活躍したコオロギのジミニー・クリケットが登場。彼が訪れる部屋で語られた2つの物語を一緒に楽しむ形で、物語が展開していきます。それぞれの物語に関連性がある訳ではなく、前半と後半で全く違う物語を楽しむことが可能です。
また、ジミニーが訪れた2つの部屋の映像表現が異なっており、前半の子供部屋はアニメーション映像、後半の家は実写映像を中心として展開されていきます。短編作品はどちらも魅力的であり、合間に流れるジミニーの旅の雰囲気も合わさって、おとぎ話のような少し不思議な印象を受ける作品です。
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DIGLE MOVIE編集部
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DIGLE MOVIE編集部ディレクター。音楽、アニメ、漫画、映画、ファッションなど、全てのアートカルチャーをこよなく愛しています。 某音大卒、アメリカ留学後に大手音楽レーベルにてアーティストの新人発掘、マネジメントに携わり、現在はアーティスト兼ディレクター兼アートコンサルタントとして様々な素晴らしいモノ、コトを提供中。 アートを新たな価値として提供する事にも日々模索中でMUSIC HACK DAY Tokyo 2018にも出場し、Sigfox賞を受賞。
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